データはどこから来て、どこへ行く?売店の記録で見る5つの流れ|Google Cloud入門 第02回

「データを使える形にするのはわかった。でも、集めた後は何をするの?」
前の記事では、売上に在庫や時刻の記録を合わせると、考える材料が増えることを見ました。今回は、記録が生まれてから、使う人へ届くまでの道のりを見てみましょう。
舞台は、架空のパーク売店です。3件の販売記録を使います。実際の顧客情報は使わず、Google Cloudの登録や操作も行いません。
この記事でわかること
- データを集めてから使うまでの5つの役割
- 元の記録と、加工した記録を分ける理由
- 「データパイプライン」と「データ基盤」の違い
- 紙だけでできる、流れの組み立て練習
最初に4コマ:集めた記録は、どこへ行く?
①→②→③→④の順に読んでね。スマホでは上から順に並びます。
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売店で生まれた記録
![1コマ目。SAIちゃんが売店の販売記録を持ち、隣のかずまへ疑問を伝える。]()
SAIちゃん売れた数を書いたよ。この後、どうなるの?
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道すじを見てみよう
![2コマ目。かずまが記録、保存、整理、分析、報告を表す地図を開き、SAIちゃんが隣で見る。]()
かずま僕なら、受け取ってから、誰に届けるかまで描いてみるよ。
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元の記録も残す
![3コマ目。SAIちゃんが元の販売記録をフォルダーへ保存し、作業用のカードを見比べる。]()
SAIちゃんまず元の記録を残して、コピーで整えてみよう。
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使う人まで届ける
![4コマ目。SAIちゃんが集計の図を担当者へ渡し、かずまが隣で見守る。]()
SAIちゃん結果を渡す相手まで考えると、流れがつながるね!
漫画は架空の記録を使った学習の会話例です。SAIちゃんは読者と一緒に試し、かずまは少し先を歩く先輩として隣で考えます。
目次
まず結論:記録は、いくつかの役割を通って人へ届きます
最初は、次の5つで考えてみてください。
- 集める:使いたい記録を受け取る。
- 保存する:後で確かめられる場所に置く。
- 整える:意味や書き方を確認し、使いやすい形にする。
- 分析する:質問に合わせて数えたり比べたりする。
- 届ける:結果を、必要な人がわかる形で渡す。
これは役割を理解するための地図です。実際の仕組みでは、保存する前に整えることも、保存した後に整えることもあります。すべてを別の道具で行う必要もありません。
Google Cloudの公式説明でも、取り出したデータを加工して保存するETLと、保存した後に加工するELTを区別しています。名前を覚えるのは後の回で大丈夫です。今は「順番には目的に応じた違いがある」と押さえましょう。Google Cloud公式:ETLとは

入口:データは、人の行動や出来事から生まれます
売店なら「商品が売れた」、ブログなら「ページが開かれた」、機械なら「温度を測った」といった出来事が記録のきっかけになります。
ただし、出来事が起きただけでは、使える記録が必ず残るわけではありません。何を、いつ、どう記録するかを決める必要があります。
今回は、売店の担当者が、次の3件を記録したとします。日付はすべて2026年10月24日です。
| 記録ID | 商品名 | 販売数 |
|---|---|---|
| 001 | オレンジジュース | 10 |
| 002 | オレンジJ | 5 |
| 003 | クッキー | 8 |
それぞれの行は、担当者がまとめて記録した販売数を表します。「1行=1人のお客さん」ではありません。この違いを知っておかないと、3行を「お客さんが3人来た」と誤って数えてしまいます。
1.集める:必要な記録が届いているか確かめます
売店の担当者から、3件の記録を受け取ります。
確認したいのは、ファイルを受け取れたかだけではありません。「どの日の記録か」「どの売店か」「必要な分がそろっているか」も見ます。
たとえば、午前中だけの記録を、一日分だと思って使うと、結果の意味が変わります。記録には、対象の日付や時間帯も添えておきましょう。
この例では、3件が対象の記録のすべてであることを確認できた、という条件で進めます。
2.保存する:元の記録を後から確かめられるようにします
受け取った記録は、決めた場所へ保存します。紙なら保管用の封筒、ファイルなら練習用のフォルダーでもかまいません。
「オレンジJ」を直す前に、元の記録を残しておくことが大切です。
後で「誰が、何を、なぜ変更した?」と聞かれたとき、加工後の表だけでは判断できないことがあるからです。保存する期間と、見られる人の範囲も合わせて決めます。
SAIちゃん:作業するためのコピーと、最初に受け取った記録を分けておけば、見直すときに戻れるんだね。
3.整える:同じ意味の記録を、同じルールで扱います
「オレンジJ」が「オレンジジュース」と同じ商品か、担当者や商品一覧で確かめます。
今回は同じ商品だと確認できたので、作業用の表では「オレンジジュース」にそろえます。元の記録は変えず、整理後の商品名を別の列に残す方法もあります。
この段階で、数の空欄、同じ記録の重複、予想と違うデータの形も確認します。名前が似ているという理由だけで、別の商品をまとめないようにしましょう。
何をどう直したかというルールを残すと、翌日も同じ考え方で処理できます。
4.分析する:質問に合わせて、数えたり比べたりします
今回の質問は「商品ごとに、いくつ売れた?」です。
整理した商品名で合計すると、次のようになります。
| 商品名 | 販売数の合計 |
|---|---|
| オレンジジュース | 15 |
| クッキー | 8 |
ジュースは10+5=15。全体は15+8=23で、元の販売数の合計とも一致します。
ただし、合計が合っただけで、記録の内容がすべて正しいと証明できるわけではありません。数量の入力間違いなどは、別の記録との照合が必要になることがあります。
ここでわかるのは、この記録の範囲での商品別販売数です。売上金額、お客さんの人数、売り切れ後の需要までは、この表だけではわかりません。
5.届ける:数字と一緒に、条件も渡します
販売数の表を、翌日の準備を相談する担当者へ渡します。
「ジュース15、クッキー8」とだけ伝えると、何の日の数字なのかわかりません。今回は、次の説明を添えます。
2026年10月24日の対象売店の販売記録3件を、確認済みの商品名で合計しました。ジュース15、クッキー8です。数量の記録であり、購入者数や売上金額ではありません。
さらに、いつ作成した結果か、どこまで確認したかも残すと、受け取る人が判断しやすくなります。
結果は表でも、グラフでも、短い報告でもかまいません。「必要な人が、意味を取り違えずに使えるか」がポイントです。
パイプラインは「つながった処理」、基盤はそれを支える仕組み全体です
データパイプラインとは、データを読み取り、加工し、別の場所へ書き込むなどの処理をつないだものです。Google Cloudの公式説明でも、一連のつながった処理として説明されています。Google Cloud公式:データパイプラインとは
パークでたとえると、売店の記録を受け取って、集計担当へ届ける作業の道すじです。
データ基盤は、その道すじに加え、保存する場所、利用する人の権限、失敗に気づくための監視なども含めた広い仕組みとして考えます。
| 言葉 | 今回の例 |
|---|---|
| データの発生元 | 売店で作った販売記録 |
| データパイプライン | 受け取る、そろえる、集計表へ保存する処理のつながり |
| データ基盤 | 処理のつながり、保存場所、権限、確認や運用のルールなど |
| データを使う人 | 結果を見て翌日の準備を相談する担当者 |
5分で試す:3件の記録を、使う人まで届けてみよう
手順1:先ほどの3件を、紙に書きます
商品名と販売数だけでなく、日付と「何を1件として記録したか」もメモします。元の記録を残し、作業用の紙をもう一枚用意しましょう。
手順2:商品名をそろえる条件を書きます
「担当者に確認し、オレンジJはオレンジジュースと同じ商品だとわかった」と書きます。その条件で、作業用の記録をそろえます。
手順3:合計して、元の数量と比べます
ジュース15、クッキー8、全体23になるか確認します。今回の確認は、数量の合計を比べる練習です。
手順4:受け取る人への説明を一行書きます
「何の日の、どこの、何を数えた結果か」が伝わる文を添えてください。これで、集計して終わりではなく、使う人へ届けるところまで練習できます。
途中で間違いに気づいたら、その場所へ戻りましょう
たとえば合計が合わないなら、集計方法や途中の記録を見直します。そもそも午前の記録しかなかったなら、集める段階へ戻って確認します。
最初からすべてを自動で動かそうとせず、「どこまで進んだか」「どこで問題が起きたか」を見えるようにすると、見直しやすくなります。
練習には架空の記録を使い、個人情報や会社の未公開資料を持ち出しません。AIで整理する場合も機密情報を入力せず、結果は元の記録と照合します。
かずまの実践メモ:僕なら、道具より先に矢印を書きます
僕なら、サービス名を並べる前に「誰から受け取る → どこへ置く → 何を直す → 何を調べる → 誰へ渡す」と紙に書きます。
最後の相手が決まらないと、どんな結果にすればよいかも決めにくいからです。
まだ細かなサービス名を覚えていなくても大丈夫です。先に役割をつかんでおくと、Google Cloudの道具を学ぶときに、何のために使うかを結び付けやすくなります。
今日の一歩:自分の記録の道すじを描こう
家計、献立、ブログの記事一覧など、身近な記録を一つ選びましょう。「発生元」と「最後に使う人」を書き、その間を5つの役割でつないでみてください。
一人で全部担当する小さな例でもかまいません。空欄が残ったら、これから決めることが見えた、と考えてみましょう。
次回は、表の「行」と「列」から始めて、CSVやJSONがどんな形のデータなのかを見ていきます。
仕事ではどう使う?小さなビフォー・アフター
ここまでの小さな例を、案件管理・会社用マップ・稟議で使うとしたら、と考えてみましょう。以下は学習用の置き換えで、あなたの現在の仕組みを診断した結果ではありません。
- Before:処理の流れが見えない。
- After:集める・保存・加工・分析・表示を分ける。
今日残すメモ:現在の構成図。今のGASとシートのデータの流れを描けるか、自分の言葉で確認してみてください。
売店の例は、表の読み方や確認の順番を小さく試すためのものです。案件管理では「売上の一行」を「案件の一件」へ置き換え、同じ項目なのかを確かめます。第21回からは架空の案件データへ進み、処理を測ってから、GAS・シートに残す部分とCloudへ分ける部分を考えます。速さだけでなく、結果の正しさ・更新時刻・費用も比べます。
最後に4コマ:3件の記録で、流れを試そう
①→②→③→④の順に読んでね。スマホでは上から順に並びます。
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3件から始める
![1コマ目。SAIちゃんがジュース2件とクッキー1件の架空の記録カードを選ぶ。]()
SAIちゃんジュースの記録が2件、クッキーが1件だね。
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保存して、確かめる
![2コマ目。SAIちゃんが元のカードを保存し、作業用の記録を商品別に整理する。]()
かずま元は残して、同じ商品か確認してから、そろえよう。
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合計も比べてみる
![3コマ目。SAIちゃんが整理済みの記録と集計結果を見比べ、かずまが自分のメモを確認する。]()
SAIちゃん整理する前と後で、数量の合計も比べてみよう。
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条件を添えて渡す
![4コマ目。SAIちゃんが対象の日付と範囲を添えるための欄を示し、かずまへ結果を渡す。]()
SAIちゃん日付と、何を数えたかも書いて渡すね。
漫画は架空の記録を使った学習の会話例です。SAIちゃんは読者と一緒に試し、かずまは少し先を歩く先輩として隣で考えます。




